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視聴者と同じ感覚でつながりたい|テレ東「中の人」ファイル

テレ東ファンプロジェクトです。今回ご紹介する「中の人」は、アニメ局で「シナぷしゅ」の制作やビジネス展開を担当する岡林さん。

『シナぷしゅ』は、テレビ東京系列6局ネットにて平日 毎朝7:35から放送中の"民放初の赤ちゃん向け番組"です。赤ちゃんの世界が「ぷしゅっ」と広がり、パパママの肩の力が「ぷしゅ~」と抜け、番組を見ている赤ちゃんが泣き止むと、大きな反響を呼んでいます。

Youtubeでも動画配信中なので、のぞいてみてね。

中の人_岡林曜子_プロフ写真

File.60 岡林曜子(年齢:40代)
所属:アニメ局
仕事内容:コンテンツの海外展開業務、「シナぷしゅ」制作とビジネス展開ほか

テレ東に息づく魔物…⁉

Q1.いろいろ足りないテレ東だけど、こんなプチ自慢あります!

今でこそ、六本木一丁目のピカピカしたビルに入居(=いまだ自社ビルではない)していますが、一つ前の神谷町社屋は、なんとも庶民的な社屋でした。

こじんまりしていて、従業員同士の距離が近く、一つしかない階段を駆け上がると、瞬間芸で相談したい人の所へ行って直接話ができる、アットホームな場所。

そのせいか、移転してまもなく5年経つのに、いまだに新本社に慣れない。

テレ東の番組づくりのスピリットには、どこかあの懐かしい「神谷町社屋」に通じるものが根底にあるように感じます。

キレイな上物に変わっても、変えられない庶民的な「何か」。

入社時の採用面接で初めて社屋に踏み入れた時の衝撃。

緊張のあまり身じろぎもできず、面接会場に向かうエレベーターの中ではまさに棒立ちでした。

ところが、ふと壁に目をやると、エレベーターの壁にキズやら指紋やら足跡のような汚れがたくさんあることに気づき、なぜだかその人間くささにホッとし、その瞬間、緊張が解けたのです。

眩しいくらいにぴっかぴかの他局の社屋とは違う「息づく何か」がここにある。と感じたのです。

「ああ、ここであれば、両親から教わり、育ててもらった金銭感覚や肌感覚を失わずに、地に足の着いた番組づくりができる」となぜだかとってもしっくりと府に落ちたのです。

入社してみると、それは単に「社屋」の問題だけではありませんでした。

ここで働き続けて、いくつかの部署を経て、気づいたこと。

「息づく何か」はテレ東にいる「ひと」が作っているものでした。

ここにいる人が織りなし作っている「文化」でした。

テレ東の人は、おおむね、あたたかく、庶民的です。

予算的にも会社のサイズ的にも無理ができないので、自然にそうなるのだと思いますし、こういうのを「社風」っていうのかなとまじめに思います。

そして、この庶民感覚が番組に滲み出し、見てくれている視聴者と同じ感覚でつながる。

背伸びできないのはテレ東の弱みでもあるけれど、それが強みでもあるのかなと感じています。


子どもたちにいいものを残したい

Q2.テレ東だからこそできる!テレ東で挑戦したいことはありますか?

図1

今、「シナぷしゅ」という番組を作っています。コンテンツづくりとビジネス展開、つまり、放送と放送外収入どちらも同じだけ力を入れて両輪で動かすことを目標に日々、邁進しています。

視聴者に愛され、見ていただくことと同じくらい、民送局かつ株式会社しては収益を生むことが大事です。

何よりも「シナぷしゅ」という番組の放送し続けていくために、利益を生み出してビジネスを大きくしていくことが必須条件なのです。

「シナぷしゅ」はもともと、育休明けの後輩の企画立案で始まり、トライアル放送を経て、レギュラー放送が始まったわけですが、このトライアルと番組立ち上がりのタイミングで、私はこの番組に「自分が今持っているすべてをかける」という覚悟で挑むことにしました。

それは日本だけでなく、世界のあちらこちらで異常気象が起き、気温の上昇や森林火災が広がったタイミングでもありました。

科学技術においては、空飛ぶ車ドローンを活用した宅配無人の農業トラクターなんていうSFの世界のワードが現実味を帯び、「消える職業、残る職業」なんていう特集が紙面で組まれるようになりました。この一年においては、コロナウィルスという未曽有の相手との向き合いにも終わりが見えません。

私生活では、可愛い2人の子どもの育児真っ最中ですが、「社会人として、大人として、どんな社会を残してあげられているか」「親としてどんな背中を見せてあげられているか」、日々問われている思いでいました。

時限爆弾を抱えた地球に生きている中で、ぼんやりとした仕事の仕方や発信ではなく、作り手の顔が見える形で、今まで以上に言葉や発信に責任を持った番組づくりをする必要があると思いました。

また、そんな番組を通じて、「答えがない」問題に対して、子供たちが「自分たちで答えを見つけ、解決していく」力を育てることができるコンテンツを生みだす責任が、今メディアに従事している私たちにあるとも思いました。多々ある番組の中に、そのような番組を作りたいと思いました。

「シナぷしゅ」では、そんな想いを胸に、小さな赤ちゃんの毎日を楽しく愉快にし、一人一人の感性を豊かに育み、世界が少しでも広がるようなコンテンツ作りを目指しています。

主語は子どもたちなので、私自身も子どもたちから日々、ヒントやネタをもらっています。

中の人_岡林曜子_内容写真②

中の人_岡林曜子_内容写真①

↑番組コーナーの一つ「ヒカリの森の黒うさぎ」の一場面。コロナ渦の裏庭でタンポポの根っこをどこまでも掘ってみました。

「シナぷしゅ」は、今、社内では部署をまたがるメンバーが集まり、制作とビジネス展開を行っています。

コンテンツ制作においては、番組を構成する一つ一つの短いコンテンツごとに個人のクリエイターさんと組み制作しています。

東京に限らず、全国遠隔地にも参加してくれるクリエイターさんもいて、たくさんの愛情と才能を注いでくださっています。

少しずつ番組の認知が広がり、異なる業界の方から声がかかり、「シナぷしゅ」の様々な事業が広がってきています。

孤軍奮闘になりがちなの育児真っただ中のお父さんやお母さん、おじいちゃんおばあちゃんからもたくさんの声が寄せられています。

「子どもたちにいいものをつくる、残す」という共通の想いのもと、立場を超えてたくさんの力が集結し、毎日の放送が生み出されています。

そして、作り手の私たちも視聴者もそれぞれ「けっして一人ではない。」というやさしさや思いやりの「つながり」が番組を通じて生まれているのを感じています。

テレ東だからこそできると信じている今の目標は、この「つながり」をもっともっと太く大きいものにし、局を超えたものとしていくこと。子供たちが生きていく未来を今より良い場所にしていくことです。


新入社員時代の大失言事件

Q3.自分史上最悪のやっちまった仕事、もしくは、自分史上最高の忘れられない仕事は何ですか?

失言事件。

入社一年目、報道局にて、当時、夕方ニュースのディレクターの駆け出しをしていました。

ネタを考え、取材に行こう、とロッカーの鍵を借り、在局しているデジカメを持ち出し、いざ出発!…しようとした矢先、後ろから当時の部長の静かな、低い、こわい声が飛んできました。「鍵をかけろ。」と。

かけたつもりの鍵がかかっていないことを注意してくださったわけなのですが、早とちりの私は、日頃からその部長をとても尊敬していたことも相まって、「わ、部長は何でも知っているんだ、おっちょこちょいな私の行動も、全部お見通しなんだ!」とその時も妙に感動し、大きな声で叫んでしまったのです。

「部長!!!部長の目は節穴ですね!!!」

その瞬間、オンエアに向けてワサワサしていたフロアが、しーーーーん。と静まり返ったのを覚えています。

その後のことは何も覚えていません。

ひとりの先輩に「頭冷やしてこい。」と言われ、そのまま会社を飛び出し、次に気づいたときには、電車のホームにいました。

ニュース原稿を作り、レポートをする、正しく言葉を扱うべき立場にある者として、あるまじき間違いでした。

もう、会社に戻る場所はないな…と本気で思いました。

頭が真っ白のまま、その日何とか取材を終え、次の日のオンエア終わりのこと。またあの低い、静かな声で、部長に呼ばれました。

ああ、終わった。すべて終わった。

足取り重く部長のもとに行くと、部長が静かな声で言いました。

「今回の取材とまとめは自分でどう思ったか?」と。

オンエア終わりに誰に対してもする、いつも通りの言葉がけを、まるで何事もなかったかのようにしてくださったのです。

私は、この時、部長の厳しさと優しさに本当に救っていただいたのです。

この部長は、私が別部署に異動になったときも、詰めていた記者クラブにきてくれました。

誰もいない早朝の記者クラブの電気をつけると、部屋の奥に部長が座っていました。「お前が心配だから来た」と。

それから年十年も経て、社歴を重ね、後輩や同僚とともに日々の業務に邁進している今も、あの失言事件は、消し去ることができない私の大失敗談であるとともに、仕事をする上で大きな指針となりました。

後輩や同僚、仕事そのものに対し、真正面から向き合い、誠意を持って信じ、守ること。

それを教えてくださった部長とあの出来事にとても感謝しています。


これまでに登場した「中の人」たち

あの有名Pやアナウンサーから裏方のスタッフまで、おもしろエピソード書いてくれています。マガジンにまとめていますので、ぜひチェックしてみてください!

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